【天の岩戸を開けるのは?】

数年前から、合宿形式でのグループコーチ

ングの場を作っています。忙しい日常から

離れた空間で、寝食を共にしながら、コー

チングをし合います。今回は、いつかやっ

てみたいと思っていた「お寺でのコーチン

グ合宿」が実現しました。朝は本堂で坐禅

を組み、ご住職の説法をいただき、精進料

理の朝食をいただく。それだけでも、非日

常を味わえ、新鮮な気持ちになります。

 

最初は「どんな皆さんなのだろう?」と初

対面の参加者同士、緊張感もありますが、

お互いの話を傾聴し合っているうちに、ど

んどん自己開示が進み、各々の人生が語ら

れていきます。その中に、各々にとって、

必要なヒントや気づきがたくさんあり、皆

さんの体験こそがすばらしい教材だと感じ

入ります。そして、自分が話したいことを

心ゆくまで話した後の皆さんのお顔は、と

ても清々しく晴れやかでした。

 

最終日に、参加者のお一人がこんなことを

おっしゃいました。

「この3日間の体験は、喩えるなら、各々

が天の岩戸を開けるのをそばで見ているよ

うな感じでした。暗い岩の扉を、内側から

自分の手で開けてみると、天からの光が差

し込み、外に出る勇気が湧いてくるという

イメージです。これは外からこじ開けられ

るのではなく、自分で開けるからこそ、得

られるものなのだと感じました」

「なるほど!うまいことおっしゃるなぁ」

と思いました。

 

コーチングとは、まさにそのような体験で

あると私も思います。外側から質問を矢継

ぎ早やに投げかけられて、「内側にあるも

のを出してみろ」と迫られても、相手を信

頼できていなければ怖くてできません。ま

してや、相手が最初から答えを持っていて、

その望む答えを言わないと許してもらえな

いと感じてしまうと、話し手は扉を内側か

ら開けようという気分にはなかなかなれな

いものです。

 

自分から「話してみよう」、「この人にな

ら話してみたい」と思って心を開いてこそ、

前に向かう勇気や気づきが起きてくるのだ

と思います。コーチがやっていることは、

質問をすること、話を聴くことと思われが

ちですが、一言で言うと「話しやすい環境

を作ること」に尽きると感じます。何を言

っても否定されない心理的に安全な環境は

もちろんですが、非日常空間でかしこまら

ず膝を付き合わせて話すという物理的環境

の影響も非常に大きいと感じます。

 

多くの人の心の中にある「天の岩戸」を開

いてもらうための環境づくりを、今後も折

々にしていきたいと感じたお寺合宿でした。

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