【こちらが「答え」を持たない質問】

5年程前から、コーチングがベースにある

オランダの教育に着目し研究をしています。

今年も、教育現場の視察にオランダへ行っ

てきました。今回は、10年以上も前から、

オランダの教育について研究されている京

都教育大学の村上忠幸教授とその学生さん

たちの視察チームに同行させていただきま

した。

 

これまで、10校以上、様々な校種、様々

な手法による教育を見てきましたが、どの

学校に行っても、その根底に共通して根付

いている「軸」が感じられ、今回も非常に

感銘を受けました。その「軸」とは、もち

ろん、コーチングです。「答えは相手の中

にある」、「その子にとっての本当の幸せ

とは何かを考えサポートする」その姿勢が

貫かれているところに、オランダ教育の凄

みを感じました。もちろん、すべてが完璧

で課題などないと言うつもりはありません

が、このような姿勢を、日本にももっと浸

透させたいと強く感じました。

 

以前も取材にうかがったオランダ最大の教

員養成大学に、今回もお邪魔したのですが、

日本の大学生を前にして、この大学の理事

長が、こう問いかけられました。

「皆さん、午前中に視察された小学校で何

か気づかれたことはありましたか?」

日本の学生の何名かが、自分が感じたこと

を発言しました。これに対して、理事長は、

「そうでしたか、そんな気づきがあったの

ですね。私たちの学生も、今年、日本を訪

問しますが、皆さんのように何か新しい気

づきを得てくれるといいなと思います」と

おっしゃいました。

 

私はどこかで、理事長が、「例えば、こん

なことに気づいた人はいませんでしたか?」

とか、「こういうところにも気づいてほし

かったです」といった学生が気づかなかっ

たような点を補足されるのでは?と思って

いたのですが、そういう発言は一切ありま

せんでした。理事長側には何の落としどこ

ろもなく、自分の「答え」などまったく持

たない質問でした。そのことに、私はあら

ためて深い感動を覚えました。

 

日本では、とかく、先生側に意図があって、

相手に気づいてほしいと思っていることを

気づかせるような質問が見受けられます。

それを繰り返すうちに、質問された側は、

自分の考えよりも、相手の意図に沿う答え

を探そうとするようになってしまいます。

結局、本音や新たな発想を引き出せない状

況を作り出してしまいます。

 

こうした日常の何気ないコミュニケーショ

ンの中にも、オランダの教育現場に根付く

コーチングの真髄を見た気がしました。オ

ランダと日本では、教育制度も文化も違い、

すべてを手放しで絶賛し、採り入れること

が必ずしも良いとは思いませんが、まだま

だ日本でもできることがあるのではないか

と感じました。それをこれからも伝えてい

きたいです。

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