【こちらが怯むほどの信頼】

先月、スウェーデンの山岳地帯(ラップラ

ンド地方)へリーダーシップの研修を受講

しに行ってきました。完全に、アウトドア

で行われるこの研修は、マイナス10度前後

の過酷な自然環境の中、雪山を移動し、キ

ャンプを通して行われます。オランダ人コ

ーチによって開発された研修なのですが、

理論の学習よりも、「体験を通して掴む」

ことに重きが置かれた、まさにオランダ流

の研修でした。 

 

この研修の唯一最大のミッションは、チー

 

ム全員で、「生きて山に入り、生きて山か

ら帰ってくる」というものです。アウトド

アや筋力トレーニングなどの素養がほとん

どない私にとっては、かなり過酷で衝撃的

な毎日でした。途中、何度も「日本に帰り

たい」と思いました。

 

このような環境下で、全員がミッションを

達成するためには、やはり、コーチの存在

だけでは不十分です。指示命令を的確に下

し、メンバーを動かしていくマネージャー

としての役割、全体を見通して、ビジョン

やゴールを示していくリーダーとしての役

割、各々の役割を状況に合わせて、交代し

ながら実践していくことの大切さを身をも

って体感しました。

 

 

こうして四苦八苦しながら課題と向き合う

私たちをオランダ人コーチたちが、ずっと

見守ってくれているわけですが、いよいよ

最終日、これから、テントを撤収して、ベ

ースキャンプへ戻るという朝、こんなこと

がありました。「緊急事態が発生したので、

私たちは、急いで先に下山しなくてはなら

ない。あとは、自分たちで撤収して、帰っ

てきてほしい」言い残して、オランダ人コ

ーチたちが、さっさと立ち去ってしまいま

した。「自分たちの力だけで、なんとかし

て帰ってこい」というのです。これには度

肝を抜かれました。が、多少、度胸もつい

てきたメンバーは、協力し合って、無事、

安全に下山し、達成感を味わうことができ

ました。

 

 

下山してから、「緊急事態とはいったい何

だったのか?」とたずねると、「あなたた

ちはもう我々がいなくても、自分たちでで

きると判断したので、任せて先に帰ってき

ただけだ」と言うのです。これにも度肝を

抜かれるばかりでした。「日本のインスト

ラクターが研修中にすべてを参加者に任せ

て、その場を立ち去るなどまず考えられな

い」と言うと、「なぜ?この人たちならで

きるとわかっているのに、なぜ、任せよう

としない?」と言われ、ただただ、信頼に

対する腹の括り方に敬服するばかりでした。

 

 

ここまで信頼されたら、相手はその信頼に

ぜひ応えたいと思うでしょう。相手が、思

わず怯むほどの信頼ができるかどうか、非

常に考えさせられました。この出来事は、

今回の研修のほんの一端ですが、実に衝撃

的な体験でした。

 

 

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