【誘導尋問になっていないか】

住宅などの建設現場で現場監督をされている方が、数年前から、コーチング講座に通

われています。これまでの一方通行の指示命令型のコミュニケーションを改め、現場

のスタッフに、質問をして、仕事の進め方や納期まで、自分たちで考えてもらうよう

にしてみたそうです。

 

最初は、スタッフも「指示をしてもらったほうが楽です」と言っていたそうですが、

続けているうちに、自分で考え、自分で動くようになってきました。

いつも、遅れがちだった工程が、かえって順調に進むよう

になったそうです。自分で工程を決めることで、より自分事になったのでしょう。

 

建設現場でも、コーチングは有効なのだと教えてもらいました。日頃から、実に様々

な業界に研修でうかがったり、様々な業種の方のコーチングをさせてもらったりする

のですが、私自身は、まったくその業界については、ど素人であることがほとんどで

す。ティーチングやアドバイスをしようにも、できるような知識や経験がありません。

ですから、ただ、コーチングのポイントをお伝えして、質問をして話を聴いているだ

けなのですが、このように、皆さんが、各々の現場で上手く応用していただけるので、

とても心強く思っています。

 

 一方で、上司が、コーチングを実践しようとすることで、「よけいにやる気がなくな

る」というお声も聴きます。

よくよく聴いてみると、上司がしている質問がこんな質問なのです。

「で、どうしようと思っているの?」

「それはいつやるつもり?」

「本当にできるの?」

「自分でやるって言ったよね?」

 

 質問の形はしていますが、相手を問い詰め、相手をコントロールしようとするニュアン

スが感じられます。こういう言い方をされては、自分から「やってみよう!」という

気持ちにはなかなかなりにくいものです。

「責められるからやるしかない」と、自発性とは程遠い結果になってしまいます。

 先ほど、ご紹介した現場監督さんをはじめ、コーチングで成果をあげている人たちは、

質問のテクニックに長けている以前に、根底に、相手に対する信頼を持っている人た

ちです。

「自分でできるよね!やったらできるよね!」という信頼あっての質問なの

で、相手は、自発的に考えて取り組んでみようと思えます。

 

「こちらが思うように相手をコントロールするテクニック」がコーチングだと、未だ

に誤解されていることがあります。質問をしようとして、つい、こちらの意図通りに

相手を誘導する「尋問」になっていないか、相手の可能性を信じているのか、常に、ふ

りかえってみる必要があるなと感じます。

 

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