新人の戦力化

今年の春も、新入社員研修で、全国をまわっていました。この研修は、私が最も長く
やっている研修で、今年で20年目となりました。20年の間には、私自身の変化ももち
ろん、新入社員の皆さんの雰囲気や気質もずいぶん変わってきたように感じます。
ざっくり言うと、以前よりもずっと優秀な新入社員が増えました。「ついこの間まで、
高校生でした」という皆さんの中には、コミュニケーションも満足にとれないという
人もいましたが、昨今、そんなことはまずありません。高卒であっても、大卒に劣ら
ず、堂々と明快に話せます。
そして、非常に素直です。教えられたことに、まじめに取り組みますし、求められるアウトプットもそつなく行います。ゆとりだの、さとりだの言われますが、能力としては、高いものを持っている人が多いと感じます。ですから、研修としては、非常にやりやすいです。言ったことを言った通りにやって
くれますので、ある意味、楽です。ところが、これが、実際の仕事の場面だとどうだろうと思います。言った通りには、やりますが、それ以上のことにはチャレンジしません。決して、やる気がないわけではなく、「言われていないので、やらないほうがよい」と判断してしまうようです。また、「正しいやり方は一つしかなく、そのやり方
でやらなければ、評価は得られない」と思う傾向が、以前の新入社員よりも強いよう
に感じます。現場で、1から10まで指示しなければ動けない人材というのは、実に扱
いにくいのではないでしょうか。
そこで、ビジネスマナーを教える時なども、基本はテキストで確認してもらいますが、
あとは、「こんな場面で、あなたはどう立居振舞いますか?」を考えて、実際にやっ
てもらいます。自分たちなりに考えた言葉づかい、応対で実演してみて、私が、「社
会人らしい」、「礼儀正しく信頼を感じる応対だ」と思うアウトプットには、どんど
んOKを出していきます。「他のグループの回答とは違うけれど、これもOKなんだ」
と気づくと、目的をはずさなければ、「正解は一つではないんだ」という点を学んで
いきます。
最初に、マニュアルを使って、基本の進め方を教えること(ティーチング)は、新人
に対しては必須だと思いますが、ある程度、基本を伝えてからは、どんどん考えさせて
みて(コーチング)はどうかと思います。
自分で考えてやってみて、うまくいったことにはどんどんOKを出していく。ささい
なことからでかまいませんので、この体験を、数多く積んでもらうことが、昨今の新
人の戦力化を加速させるように感じます。
決して、優秀でない人材ではありません。「これでOKなんだ」という確信が持てな
いことには取り組みにくい世代なのです。
「自分で考えて自分でできる」と実感してもらうためにも、早い時期から、ティーチ
ングとコーチングの併用をぜひお薦めいたします。

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