【私はあなたの味方】

コーチングに出会って良かったと思うことを挙げると、きりがないのですが、中でも、「相手
と闘おうとしなくなったこと」は、私の仕事や人生において、格別な成果をもたらしているよ
うに思います。

例えば、企業研修の現場では、実にいろんな人に出会います。自発性のかけらも感じられず、
自分がなぜここに座っているのかもよくわかっていない若手社員、会社や上司に著しく不満が
あって、そもそもこの研修に参加することに嫌悪感すら抱いている中間管理職、自分のやり方
に誇りとプライドを持っていて、コーチングなどと言われても容易に受け容れ難いトップマネ
ジメントの皆さん、各々に、研修講師には手強い相手です。

こういう人たちに、一方的に「こう考えて、こうしたらいいんですよ」、「あなたがこうだか
ら、ダメなんですよ!」と持論を押しつけるだけでは、まったく暖簾に腕押しなのですが、
「説得するのはやめよう。闘うのはやめよう」と決めると、その方が実にうまくいくように思
うのです。

やる気のない若手には、「今まで、どんな仕事をしてきましたか?どんなことが嬉しかったで
すか?どんなことに困っていますか?」と問いかけることで、自分の内側に矢印を向けてもら
います。
「ここまでがんばってきたんですね。成長があったんですね。これから、もっとどうなりたい
と思っていますか?」と、やってきたことを認め、願望について問いかけます。
「あなたがもっとこうなりたいと思っているゴールに、どうやったらたどりつけるか、今日は
一緒に考えましょう。私はあなたの意欲のなさを叱咤激励するために来たのではありません。
あなたがもっとやりがいや喜びを感じて仕事をすることで、いっそう幸せになってもらいたい
んです。私はあなたの味方です」というスタンスで接します。

中間管理職、トップマネジメントの皆さんに対しても同様です。相手を決して責めませんし、
言い負かそうなどとは思いません。「そうですよね。たいへんなお立場ですよね。本当にお察
しします」と気持ちを受けとめ、「どうやったら、よりよい職場や人材が作られるのかを一緒
に考えましょう。そのために、私が持っている情報や事例があなたのヒントとなれば、こんな
に嬉しいことはありません。私はあなたの味方です」という姿勢を貫きます。

こうやって接していると、相手の方も、私を打ち負かそうとは思わなくなるようです。しだい
に心を開いてくださるように思います。何のために研修をするのか考えてみたら、まったくも
って明確です。「この研修を通して、仕事や人生においてよりよい成果を上げていただくため」
です。相手は闘う対象ではありません。同志として、「一緒に考えましょうよ!」というスタ
ンスでコミュニケーションをとるだけです。このようなスキルとあり方を学んでから、成果が
格段に変わってきました。

職場の上司と部下、リーダーとメンバーの間も同じなのではないかと思います。

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